書評

2017年1月21日 (土)

【書評】自分の読書のルーツは多分ここにある_黒沢哲哉『よみがえるケイブンシャの大百科 伝説の70〜80年代バイブル』

二年くらい前に書いた本の感想を、どこにもアップせずにパソコンに保存していたみたいなので、アップしておきます。

自分の読書のルーツは多分ここにある

黒沢哲哉『よみがえるケイブンシャの大百科 伝説の70~80年代バイブル』(2014年・いそっぷ社)

 2002年に倒産した出版社、剄文社が刊行していたシリーズ「ケイブンシャの大百科」を表紙画像や解説、コラム、インタビューから振り返る。なお今回は昭和に刊行されたものに絞られ、平成以降のものは巻末にリストが掲載されている。

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2015年7月14日 (火)

【書評】しゃべれない人にも、しゃべりすぎてしまう人にも:吉田尚記『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』

しゃべれない人にも、しゃべりすぎてしまう人にも

なぜ、この人と話をすると楽になるのか吉田尚記『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』(2015年・太田出版)

 著者はニッポン放送のアナウンサー。ご本人曰く「コミュ障(コミュニケーション障害)」とのことですが、その著者が苦手だった人との会話をどうやって克服してきたかを語っている。ネット動画の生配信で話した内容をまとめたものとのこと。

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2015年6月23日 (火)

【書評】これが、「時代が求めた16bit」だ!:『メガドライブ大全 増補改訂版』

これが、「時代が求めた16bit」だ!

メガドライブ大全 増補改訂版『メガドライブ大全 増補改訂版』(2015年・太田出版)

 セガが1988年に発売したゲーム機「メガドライブ」の、国内で発売されたすべてのソフトを紹介する本。メガドライブには、「メガCD」や「スーパー32X」という拡張用の周辺機器もあったのですが、それらの対応ソフトもすべてカラー写真と文章で紹介されている。さらに、メガドライブのソフトを手がけた小玉理恵子、宮路洋一、内藤寛、中裕司というクリエイター各氏へのインタビューも掲載されている。

 もとは2004年刊行。この本は「増補改訂版」として、メガドライブの設計資料(図面など)、メガドライブ本体を開発した石川雅美氏へのインタビューが追加されている。

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2015年5月 9日 (土)

【書評】私も愛した1980年代のパ・リーグ:『僕たちが愛したプロ野球 80年代パ・リーグ』

私も愛した1980年代のパ・リーグ

僕たちが愛したプロ野球 80年代パ・リーグ (スコラムック)『僕たちが愛したプロ野球 80年代パ・リーグ』(2014年・スコラムック)

 私が野球の本を読むのは珍しいと思われるかもしれないが、こう見えても、1980年代から1990年代にかけてはまだプロ野球の試合を見ていました。ちなみに野球のルールは、ファミコンのゲーム「プロ野球ファミリースタジアム」(ファミスタ)で覚えた。そのようなきっかけだったので、家族はジャイアンツファンだったがセ・リーグでは大洋ホエールズが好きだった。当時の「機動力野球」や「スーパーカートリオ」というのがこども心にも分かりやすかった。

 そして、パ・リーグが面白いと思ったのもこの頃。西武が常勝軍団への道を進んでいたのだけれど、そのスマートなイメージの西武と、個性的な阪急・近鉄・南海の関西球団、そして関東のロッテ・日ハムにもそれぞれに特色があって、そのキャラクターが際立つ感じは、ある種マンガのようで小学生にも分かりやすく魅力的だった。テレビはジャイアンツ戦をほぼ毎試合中継していたけれど、私は当時からラジオを聴いていたので、文化放送のライオンズナイターなども聴いていた。テレビゲームの影響も含めて、好きな球団がジャイアンツ一択というわけではない世代だったのかな。あとは、この本でも触れられている河合しゅんじさんのマンガ『かっとばせ!キヨハラくん』の影響も大きい。パ・リーグを舞台にしたギャグだったので。

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2015年4月21日 (火)

【書評】クラシック音楽の世界に誘ってくれる親しい友人や先輩のような:飯尾 洋一『クラシック音楽のトリセツ』を読む

クラシック音楽の世界に誘ってくれる親しい友人や先輩のような

クラシック音楽のトリセツ (SB新書)飯尾 洋一『クラシック音楽のトリセツ』(SB新書)

 著者は元々クラシック音楽系の出版社の編集者で、今は独立してクラシック音楽を中心に執筆、企画、ラジオのDJなどもされている方。デジタルでの(配信とかネット動画とか)クラシック音楽の聴き方、見方にも早い時期から言及されていて、私が知ったのもそうしたコラムがきっかけだった。

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2015年3月19日 (木)

【書評】音楽への愛:佐渡 裕『棒を振る人生 指揮者は時間を彫刻する』

音楽への愛

棒を振る人生 (PHP新書)佐渡 裕『棒を振る人生 指揮者は時間を彫刻する』(PHP新書)

 著者については改めて説明する必要もないくらい著名な方ですが、ヨーロッパの様々なオーケストラで仕事をする一方、国内でもテレビ番組「題名のない音楽会」や兵庫県立芸術文化センターの芸術監督などを務める指揮者。
 佐渡氏の著作はこれまでも二冊刊行されていて、それらはその時点までの半生が中心となる内容だった。今回は、「三〇年間、指揮者を続けてきた今のぼくから見える音楽の風景をつづった、いわば佐渡裕の指揮者論、音楽論」(p.5)として、テーマごとに佐渡氏の考えを綴っている。

 読んでいて改めて思うのは、プロとして世界的に活躍する方は、技術や研究はもちろんのこと、その前提として音楽を愛している、それも、とてつもなく愛しているのだということ。例えば、私もクラシック音楽は好きだけれど、この本を読むと、佐渡氏や多くの音楽家の音楽への愛情や情熱は度合いが違うと感じる。だからこそ、そうした音楽に触れた時、私たちは感動するのだと思う。
 そして、その情熱は伝播するのだろう。佐渡氏が総監督を勤める「一万人の第九」についての部分を読むと、「中には楽譜を読めない人もいる。いやむしろ、小学校から九〇歳を超える参加者の大半は、ふだんオタマジャクシには縁のない人たち」(pp.152-153)が、最後には合唱を作り上げる。その過程をうかがい知ることができて、佐渡氏の力が参加者に伝わって行くのだと感じる。
 そしてそれは、「人が音楽をやる意味は、人が一緒に生きていくことの喜びを確かめるためだ」(p.210)、「『人間は一緒に生きていくことが、本来の姿なんだよ』ということを人間に教えようとして、神様は音楽をつくったのではないか」(p.212)という話にも通ずるのだと思う。

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2015年3月17日 (火)

【書評】死を考えることは人生を考えること:小坂俊史『月刊すてきな終活』

死を考えることは人生を考えること

月刊すてきな終活 (バンブーコミックス)小坂俊史『月刊すてきな終活』(竹書房)

 「終活」をテーマに、毎回主人公が変わるオムニバス形式の四コママンガ。いわゆる高齢者だけでなく、中学生や大学生など、それぞれにとっての終活が描かれる。
 テーマがテーマだけに考えさせられる部分も多いが、ギャグももちろん多く、全体の雰囲気が重くなり過ぎていない。この、シリアスとコメディのバランスは絶妙だと思う。「ハタチになりたい」と言い出す八十八歳のばあちゃんとか、自分の葬式をプロデュースしようとする演出家などは、いい意味で歳を取っても達観しない人間らしさがあって、親しみが持てる。
 一方で、無期懲役から出所した七十八歳の男性の回には、様々なことを考える。数十年を経て戻った社会で一番つらいことが、罪を償うべき相手の不在(関係者もみんなこの世にいない)であり、その中で残りの人生をどう生きていくかと向き合うことになる(それでも、この人の身元を引き取る年の離れた弟がいることは救いだったのだと思う)。最後の決意にはやや驚くが、これはこの人の人生だからこそ出てきたのだと思う。
 そして思うのは、色々な立場、年齢ごとに、自分の死について考えることは自分の人生を考えることなのだろうと。自分の人生についても、少し考えさせられた。

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2015年2月24日 (火)

【書評】イメージとは異なる正岡子規の姿が浮かび上がる:正岡子規:著・天野祐吉:編・南伸坊:絵『笑う子規』(ちくま文庫)

イメージとは異なる正岡子規の姿が浮かび上がる

笑う子規 (ちくま文庫)正岡子規:著・天野祐吉:編・南伸坊:絵『笑う子規』(ちくま文庫)
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480432391/

 正岡子規の句集。ユーモア、面白みのある句を主に集め、天野祐吉氏の解説(コメント)と、南伸坊氏のイラストとともに掲載している。俳句の選定も天野氏。意外な組み合わせという印象だが、天野氏は若い頃を愛媛県で過ごしていて、「松山市立子規記念博物館」の館長を務めたこともあるとのこと。
 句集を読むと、子規のイメージが変わる。正岡子規というと、病気で苦労したことや、若くして亡くなったことから、なんとなく作品にも辛さをや苦しさを連想していたのだが、決してそういう人ではなかった。南伸坊氏の「文庫版へのあとがき」にも「たしかにバカバカしいのや、ふざけたようなのや、ぜんぜんえらそうでない句だのがあって、いっぺんに子規が好きになってしまいました」(p.213)と書かれているが、たしかに、野球や落語を愛していた若者という一面もあったわけで、そう思えばこの句集にあるような句を作ることと十分結びつく。
 例えば、「枝豆ヤ三寸飛ンデ口ニ入ル」、「桃太郎は桃金太郎は何からぞ」、「煤払や神も仏も草の上」などなど、平易な表現で、詠まれている情景が目に浮かぶようで、しみじみといい。

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2015年2月 3日 (火)

【書評】勝ちにこだわると見えてくるもの_鈴木 銀一郎『ゲーム的人生論』

勝ちにこだわると見えてくるもの

ゲーム的人生論 (Role&Roll Books)鈴木 銀一郎『ゲーム的人生論』(新紀元社・Role&Roll Books)

 著者はおそらく現役最年長(1934年生まれ)のゲームデザイナーでありゲームプレイヤー。一般的に一番知られているのは「モンスターメーカー」シリーズだと思うけれど、その他にも数々のゲームを生み出している方。
 この本では、戦争中に疎開していた小学生時代からの半生を、ゲームを遊ぶこと、作ることを中心に振り返る内容。様々な仕事をしながら、様々なゲームに携わってきたことが分かる。

 一番印象的なのは、勝負に対するこだわり。あらゆる場面で、いかに勝つかということを常に考えている。「まえがき」には、「今なら、よく分かっている。/人生にもルールのあることが。/そのルールに従って人生ゲームをプレイすれば成功し、従わなければ失敗する」(p.4)とも語られている。その言葉どおり、例えば近くに住んでいた小学生の女の子のグループに請われて野球チームの監督を務めた時のエピソードも、氏の戦略家としての面が見られる。その一方で、情に厚いことをうかがえるエピソードもあり、そうした色々な側面をあわせて、著者の人間的な魅力になっているのだと思う。

 私はゲームについて勝ち負けへのこだわりはあまり持っていないのだが、それだけに著者の考え方は興味深いし、勝つこと考えると見えてくることもあるのだと感じた。例えば、自分に運を呼ぶためには、「世の中、あるいは自分を前向きに見る」(p.118)、そして「『投入量』つまり、努力」(p.122)が重要であるということ。これはゲームに限らず、様々なことを考えるヒントになると思う。

2015年1月24日 (土)

【書評】駅前から見る日本の歴史・地理:川口素生『途中下車で訪ねる駅前の銅像―銅像から読む日本の歴史と人物』

駅前から見る日本の歴史・地理

途中下車で訪ねる駅前の銅像―銅像から読む日本の歴史と人物 (交通新聞社新書)川口素生『途中下車で訪ねる駅前の銅像―銅像から読む日本の歴史と人物』(交通新聞社新書)

 電車の駅や路面電車の停留所の前にある銅像・石像などの像のうち、日本の歴史に関わりのある人物の像を時代順に取り上げた本。大国主命に始まり、太宰治まで。
 私は歴史は断片的な興味や知識しかないので、こういう特定の観点からの日本史を見るというのは興味深いし勉強になる。また、なぜその土地にその像があるのかも解説されていて、人物の生まれや功績について、地理的な面からも知ることができる。
 また、ほとんどの像について、著者自らが現地に赴いて写真を撮影し、掲載しているのもいい。さすが交通新聞社新書。鉄道好き、旅好きの人も楽しめると思う。


これまで私が書いた本の感想はこちらからどうぞ。

●木の葉燃朗の「続・本と音楽の日々」+「しゃべる帰り道ラジオ」: 書評
http://konohamoero.cocolog-nifty.com/blog/cat57961390/index.html
●TRCブックポータル 書評投稿履歴
http://www.bookportal.jp/webap/user/SchReviewerReviewList.do?reviewerId=25

●旧ブログ:タグ「書評」
http://konohamoero-archives.seesaa.net/tag/%8F%91%95%5D
●「木の葉燃朗のがらくた書斎」トップ>>木の葉燃朗のばちあたり読書録
http://konohamoero.web.fc2.com/dokusho/index.html

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