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2014年5月 3日 (土)

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2014感想:5月2日前夜祭『祝祭の日プレナイト「アメリカの夜」』他

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 ゴールデンウィークに行われるクラシックの音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ」。東京は5月3日(土・祝)~5日(月・祝)です。私も2007年から、毎年少なくとも1日は行っています。今年は3日間通う予定。
 5月2日(金)は前夜祭。行ってきましたので、簡単な感想を。

・ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」2014 「10回記念 祝祭の日 Jours de Fêtes」
http://www.lfj.jp/lfj_2014/

 今年は、前夜祭のレセプションに参加することができたので(クラウドファウンディングという、個人による協賛に参加した特典)、後半30分くらいでしたが初めて参加。ミーハーな視点から言えば、会場で歓談しているゲストにも錚々たる方が。
 ムジカーシュ(ハンガリーの民族音楽のグループ。複数の本公演や無料公演に出演)による演奏も聴くことができたし、東京国際フォーラムの末松社長、KAJIMOTO(梶本音楽事務所)の梶本社長、ラ・フォル・ジュルネのアーティスティック・ディレクター(この音楽祭を創設し、現在もプログラム等の企画をつくる方)ルネ・マルタン氏によるあいさつも。あいさつを聞きながら、この音楽祭は色々な人の出会いがあって、そうした偶然と、また意志の力が10年の継続になったのだと感じる。そう思うと、私は一人の聴衆だけれど、やはりこの音楽祭が続いてきたことに感動するし、これからも続けられるために、できることはしたい。私は、ラ・フォル・ジュルネに偶然行ったおかげで、30代になってからクラシック音楽の魅力を感じるようになった人間なので。たぶんこれは、自分の人生を変えた出来事のひとつなのだと思う。

 レセプション後、チケットを買っていた前夜祭コンサートへ。
 その前に、レセプションと時間が重なって聴くことができなかったのだけれど、地上広場では「みんなで第九」という企画が行われていた。ベートーヴェンの交響曲第九番の第四楽章(歓喜の歌)を、みんなで楽器を持ち寄ったり歌ったりして演奏しようという企画。これは大変な盛り上がりだったらしい。後日動画が公開されることを期待します。

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 そして、前夜祭コンサート。小曽根真さんの「ラプソディ・イン・ブルー」とかカスタネットの女王ルセロ・テナさんとか、盛り上がり必至だと思っていたけれど、やはり予想通り。

祝祭の日プレナイト「アメリカの夜」

5月2日(金) 20:00~21:00 ※ 開場:19:00
ホールA(プーシキン)

出演
小曽根真(ピアノ)
ルセロ・テナ(カスタネット)
シンフォニア・ヴァルソヴィア
ジャン=ジャック・カントロフ(指揮)

曲目

ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー
バーンスタイン:『ウエストサイド物語』より「シンフォニック・ダンス」
ウィリアムズ:スター・ウォーズ
カンダー&エブ:ニューヨーク・ニューヨーク
バーバー:弦楽のためのアダージョop.11
ヨハン・シュトラウスⅡ世:スペイン行進曲op.433

 前夜祭のテーマは、フランス・ナントでのラ・フォル・ジュルネのテーマだった「アメリカ音楽」。

 一曲目から、小曽根真さんがソリストを務める「ラプソディ・イン・ブルー」。この小曽根さんのピアノが、オーケストラとともに奏でる部分はしっかり調和して、一方ソロでは自由闊達という感じですごくてね。聴きながら、その即興の世界に心持って行かれてしまい、再びオーケストラとの部分で「はっ、そうだ『ラプソディー・イン・ブルー』を聴いているのだった」と思うことも。

 その後も、様々な方向性でアメリカ音楽らしさを感じる曲が演奏される。J.ウィリアムズ「スター・ウォーズ」(あの映画のテーマソング)も、こうして聴くと、「オーケストラが奏でるアメリカ音楽」の中にちゃんと位置づけられるんだなあと思う。

 比較的明るい曲が続いて、「弦楽のためのアダージョ」があって、最後にヨハン・シュトラウスⅡ世「スペイン行進曲」。「アメリカの夜」というテーマの中で最後にちょっと方向性が違いますが、これはカスタネット奏者ルセロ・テナさんがソリストを担当するから。

 ご存じない、そして「ちょ、ちょっとなに言ってるか良く分からないのですが」という方のためにもう一度書きます。いいですか、「カスタネット奏者ルセロ・テナさんがソリスト」なのです。

 クラシック音楽には「協奏曲」と呼ばれるジャンルがあります。オーケストラとともに、特定の楽器がソロパートを演奏します。「ピアノ協奏曲」、「バイオリン協奏曲」などは、多くの作曲家が書いています。

 そして、「スペイン行進曲」は行進曲ですが、ソロ楽器にカスタネットが指定されています。「カスタネットってあのカスタネットでしょ」と思う方、そのとおりです。しかし、テナさんのカスタネットは知らない方のほとんどの想像を超えます。なにしろ、この方のためにカスタネットの演奏を含む曲をつくっている作曲家いるのです。そのくらいの方です。

LFJ2014出演アーティスト ルセロ・テナ ビゼー:カルメン (c)ARTE2013 

 YouTubeなどにも公式映像がありますので紹介します。失礼な表現になるかと思いますが、外見は大阪にいそうなおばちゃんのようです。だがこの人が奏でるカスタネットのリズムには、度肝を抜かれます。「カスタネットからこういう音が出るのか」と。

 今日も、まず「スペイン行進曲」で客席が熱狂します。当然のようにアンコールがあり、デ・ファリャ「『はかない人生』より」。これもまた大きな盛り上がり。その後も拍手が続きましたが、さすがに客席の照明も点き、オーケストラも退場して、多くの人が会場を後にするために席を立ちます。

 そこにテナさんが登場。スタンディングオベーションです。そこでテナさん、身振りでもう一曲演奏することを示す。そしてカスタネット独奏でもう一曲。

 私は去年テナさんの出演する公演をラ・フォル・ジュルネで聴いていたので、今年も彼女の出演する公演はなるべく聴く予定なのですが、前夜祭から満足でした。

 ちなみに、これは去年も書いて共感もらったので書くけれど、カスタネットのルセロ・テナさんの立ち居振舞いの存在感、指先からの音色、人を引き付けて止まない魅力を、ご存じない方に例えて紹介するなら、ポール牧師匠だと思うのですよ、私は。

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(参考)ラ・フォル・ジュルネは、金沢でも現在開催中

・ラ・フォル・ジュルネ金沢「熱狂の日」音楽祭2014 公式ウェブサイト
http://lfjk.jp/index.html

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