« ラ・フォル・ジュルネ:5月3日(土)感想 #lfj #lfjtokyo _ | トップページ | 知られざる名曲はたしかに存在する:2013年3月16日(土)『大阪交響楽団 第16回東京公演【忘れられた作曲家たち】 ~魅力再発見・ピアノ協奏曲(2)』を聴く »

2014年5月 5日 (月)

ラ・フォル・ジュルネ:5月4日(日)感想 #lfj #lfjtokyo _

 ゴールデンウィークに行われるクラシックの音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ」。東京は5月3日(土・祝)~5日(月・祝)開催です。5月4日に聴いたコンサートの感想を簡単に(後日加筆修正し、写真なども追加してwebサイトに掲載予定です)。

・ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン「熱狂の日」2014 「10回記念 祝祭の日 Jours de F?tes」
http://www.lfj.jp/lfj_2014/

----------

今日も朝は好田タクトさん

 好田さんの物真似が良いのは、真似をする対象の指揮者や、クラシック音楽に対する愛情があふれていること。好田さん自信が好きなんだということがひしひし伝わる。カルロス・クライバーとか、朝比奈隆とか、時々本人が憑依しているのではないかと思うくらいなりきっている。

-----------

241 ホールC 10:00-10:45
ウラル・フィルハーモニー管弦楽団
ドミトリー・リス(指揮)
 チャイコフスキー:交響曲第5番 ホ短調 op.64 

 チャイコフスキーはウラル地方の生まれということで、いわば地元のオーケストラによる演奏。ウラル・フィル、力強い。
 なんというか、生命力があふれるような音楽。どの部分も素晴らしかったけれど、特に第二楽章、第四楽章が良かった。ラストは聴きながら涙が止まらない。

-----------

212 ホールA 11:45-12:30
レミ・ジュニエ(ピアノ)
タタルスタン国立交響楽団
アレクサンドル・スラドコフスキー(指揮)
 ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 op.30

 昨日に引き続きタタルスタン国立交響楽団。今回はピアノのレミ・ジュニエとのラフマニノフ「ピアノ協奏曲第三番」。このレミ・ジュニエが、若いのだけれど技術がある。この難曲を、そうと感じさせないように(過剰な必死さを感じさせない)演奏をするのは、やはりすごいですよ。

-----------

263 G409 13:30-14:15
「ナディア・ブーランジェ・トリビュート」
ヴァネッサ・ワーグナー(ピアノ)
 グラス:メタモルフォーシス
 ガーシュウィン:3つの前奏曲
 コープランド:4つのピアノ・ブルース
 グラス:ウィチタ・ヴォルテックス・スートラ

 ここからピアノの公演を三連続で聴く。ヴァネッサ・ワーグナーは、昨日ムルコフ(電子音楽)との公演を聴いたけれど、今回はピアノのみ。
 機械のようにクールなグラスと、粋なガーシュウィン、コープランド。この雰囲気の違う作品を、ひとりのピアニストが弾き分ける。
 そして最後のグラス「ウィチタ・ヴォルテックス・スートラ」は、同じミニマルでも「メタモルフォーシス」とはちょっと趣が違っていて、希望を抱いて駆け抜けるような、そんな演奏。

-----------

273 よみうりホール 15:00-15:55
仲道郁代
 ブラームス:3つの間奏曲 op.117
 シューマン:交響的練習曲 op.13

 朝、チケット売場を見ていたら、なんとよみうりホールでの仲道さんの公演がまだ買える! ということで、ちょうど前後の公演の間に聴けそうだったので、チケット買って聴いてきました。
 仲道さんは45分でプログラムを組んでいたらしく、55分の時間には若干短い。ということで曲解説を交えながらの演奏。アンコールにはシューマン「トロイメライ」とエルガー「愛の挨拶」も演奏される公演に。演奏者自らの曲の解説が聞けると、曲が作られた背景とか、音楽の特徴とか、色々なことが分かった上で演奏が聴けるので勉強になる。そして、仲道さんの演奏家・研究かとしての知性を感じる。一方、人柄としては滲み出る優しさ(いわば母性)を感じる。
 最後の挨拶の後、退場する前に腕時計を指してから指で丸をつくって、(ちょうど55分、OKだね)というジェスチャーをしたりとか、本当にチャーミングな方です。ああいう方が学生時代の音楽の先生だったら、僕は今頃違う道に進んでいたかもしれません(我ながらなにを言ってるんだ)。

-----------

254 ホールD7 16:15-17:00
「ガーシュウィンへのオマージュ」
トーマス・エンコ(ジャズ・ピアノ)

 トーマス・エンコはフランスのジャズ・ピアニスト。今回はグループでの公演もありますが、この公演ではピアノソロ。全5曲。ガーシュインにインスパイアされた曲の他、タイトル未定の新曲も。中にはショパンのメロディが登場したりも。
 メロディだけでなく、リズム、グルーヴも自らのピアノで奏でるので、いわゆるクラシック音楽のピアニストとはまた違う方向性のテクニックを感じる。

-----------

215 ホールA 18:30-19:25
レティツィア・シェレール(ソプラノ)
キャサリン・ピロネル・バチェッタ(アルト)
クリストフ・アインホルン(テノール)
ピーター・ハーヴェイ(バリトン)
ローザンヌ声楽アンサンブル
シンフォニア・ヴァルソヴィア
ミシェル・コルボ(指揮)
 モーツァルト:レクイエム K.626

 ミシェル・コルボさんは、その存在だけでもう別格だと思う。もちろんオーケストラと合唱をまとめて素晴らしい音楽を作ることはそうなのだが、ステージに立つ姿を見るだけで感激する。
 モーツァルトのレクイエムは私には結構難しく感じる。というか、使われている言葉が分からなかったり、歌の背景にあるキリスト教について分かっていなかったりで、宗教曲は難しい印象がある。それでも、コルボさんの指揮する合唱曲は聴きたい。これは理屈ではなく。

-----------

展示ホールで三浦友理枝さんを聴く

 コンサートの合間に、地下の展示ホールのステージで三浦友理枝さんのピアノを聴く。展示ホールは有料公演のチケット、または半券があると入場できる。
 三浦さんの公演は、私は明日聴くのだけれど、今日はその公演とはちょっと異なるプログラム。いわゆる小品を6曲。先日発売されたCDの内容にちなんで。
 シューベルトの「楽興の時」に始まり、シューマンあり、ショパンのノクターンあり、ブラームスにチャイコフスキーの四季から11月・トロイカ、そして最後はラフマニノフの「楽興の時」。三浦さん、可憐な外見ですが、決してそうしたビジュアル面をアピールするのではなく、ピアニストとしての研鑽を重ねていることを感じる演奏。

-----------

216 ホールA 20:45-22:00 
“ルネ・マルタンのル・ク・ド・クール”
セルゲ・ツィンマーマン(ヴァイオリン)
マタン・ポラト(ピアノ)
ルセロ・テナ(カスタネット)
シンフォニア・ヴァルソヴィア
ジャン=ジャック・カントロフ(指揮)
 モーツァルト:セレナード第13番 ト長調 K.525 「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」
 モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第3番 ト長調K.216
 ハイドン:ピアノ協奏曲 ニ長調 Hob. XVIII-11
 ヨハン・シュトラウス 2世:スペイン行進曲 op.433
 ヨハン・シュトラウス 1世 :カチューシャ・ギャロップ op.97
 ファリャ:オペラ《はかない人生》より舞曲

 本日最後は、アーティスティック・ディレクター(ラ・フォル・ジュルネ)のルネ・マルタンさんがおすすめする演奏家が出演する公演。
 長調の曲をそろえた、華やかな雰囲気のプログラム。オーケストラも良かったし、セルゲ・ツィンマーマン(ヴァイオリン)、マタン・ポラト(ピアノ)の若きソリスト二人も良かった。
 そして、この日も圧倒的な存在感を示したのはカスタネットのルセロ・テナさん。客席のみならず、指揮者もオーケストラも、みんなを味方につけてしまう実力と雰囲気。5,000人入るAホールを、両手のカスタネットで熱狂させるというのは、やはりすごい。

 最後、オーケストラも退場した後におひとりで登場し、カスタネット独奏でアンコール。アナウンスやアンコール曲の掲示がなかったので推測だけれど、あの演奏は、ロッシーニの「ウィリアム・テル」序曲をカスタネットで演奏したものではなかろうか。

 ということで2日目のラ・フォル・ジュルネも終了。あっという間だな、ラ・フォル・ジュルネ。そして、やっぱり楽しいな。もちろん人によって好き嫌いがあったり、決して聴きに行かないと公言している人がいることも知っている。でもそういう人たちのことを気にしていても仕方ない。おそらく、聴く方も、出演する方も、細かいことが気になり過ぎる人はラ・フォル・ジュルネには合わないかもしれない。私も色々気になる性格だけれど、ラ・フォル・ジュルネについてはいまそこにある物事を楽しむようにしています。私は私なりに楽しんでいます。

| |

« ラ・フォル・ジュルネ:5月3日(土)感想 #lfj #lfjtokyo _ | トップページ | 知られざる名曲はたしかに存在する:2013年3月16日(土)『大阪交響楽団 第16回東京公演【忘れられた作曲家たち】 ~魅力再発見・ピアノ協奏曲(2)』を聴く »

音楽」カテゴリの記事

-LFJ2014」カテゴリの記事