情熱とやさしさと:2013年9月29日「フレッシュ名曲コンサート マエストロ・小林研一郎のアリア」を聴く
東京文化会館(東京都歴史文化財団)が企画し、在京オーケストラが都内の様々なホールで、いわゆる名曲を演奏するコンサート。今回は自宅にも近いホールでの開催ということと、指揮者が小林研一郎氏で、これまでCDでしか聴いたことがなかったので、是非コンサートで聴きたいと思って行く。
小林氏といえば「炎のコバケン」という通称もあり、情熱的な指揮という印象がある。前半のドヴォルザーク「交響曲第9番 新世界より」はまさにそんな印象。指揮と曲の緩急がシンクロしている。
一方、後半では小林氏の優しさも感じる。後半は宮里直樹、岡田昌子という若いソリストとの競演だったのだが、最初に指揮をしようとしていたのをいったん止め、「プログラムを開く音には、非常に緊張が高まります。どうかプログラムを閉じて、歌を聴いてあげてください」というような話が(一字一句正確な表現ではないが)。これが自然に、客席に受け入れられるように話せるのは、やはり人柄であろうと。その後も、二人を立てつつ、サポートするような指揮。また、ソリストだけではなく、オーケストラとの関係にもそれは感じる。例えば挨拶の時、指揮者であれば中央の前に出てもいいのだけれど、一歩下がっていたり、演奏後にオーケストラの各パートが立って拍手を受ける際も各パートを丁寧に紹介していた。
アンコール前にはソリストの二人との話も少しあり、こうした名曲コンサートとしては非常に良い演奏会だと思いました。
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