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2014年8月10日 (日)

日本SFの一般教養:「日本SF展・SFの国」を見る(2014.08.02・世田谷文学館)

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 8月2日(土)、世田谷文学館で「日本SF展・SFの国」を見る。

 日本のSFというと、1970年代半ばから「SFの浸透と拡散」というキーワードとともに、小説以外のマンガ、アニメ、ゲームなどのジャンルに広がっていった。もちろんそれ以前から、特撮映画やドラマ、マンガ、アニメにもSF作品はあったのですが。
 なにが言いたいかというと、日本のSFをテーマにした展示をするにあたって、「どこを切り取るか」がポイントになるだろうということ。

 そこで今回の展示の話。今回の展示では、現在の日本SFのルーツとなる人物やテーマに焦点を当てている。「日本SF大学校」の講義という体で、まずは日本の古典SF、『SFマガジン』に『創元SF文庫』、長く世田谷区に住んだ日本SFの父、海野十三などを紹介。
 その後専門講義として、筒井康隆・手塚治虫・真鍋博・小松左京・星新一・大伴昌司の各氏を紹介する。また日本の特撮・アニメーション・大阪万博・戦争と日本SFの関わりも取り上げている。
 人によって、特にSFが好きな人にとっては、「あの作家は取り上げないの?」、「あの作品は触れられていないの?」という思いを抱くこともあるかと思います。しかし、私は「日本SF展」というテーマで、そもそも日本のSFとはという内容だとすると、この選択は妥当だと思います。

 全体としても興味深いのですが、細かな部分でも面白い部分が色々。

  • 海野十三は、晩年SFの後継者として手塚治虫に注目していた
  • 1964年にSF作家クラブで旅行に行ったところ、旅館の看板に「SFサッカークラブ」と書かれていたという。その看板とともに記念撮影した写真も展示されていた
  • 星新一氏が、大学の同人誌に「弓晶一」名義で書いた「狐のためいき」
  • 手塚治虫のファンクラブ会報「鉄腕アトムクラブ」に小松崎茂のイラストが掲載されていたという。筒井康隆、小松左京の両氏の小説は想像できたけれど、小松崎茂というのは意外だった。

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 この日は円谷プロ製作のドラマ『猿の軍団』(1974~75年)のDVD化を記念して、上映会とトークセッションも行われた。トークのゲストは豊田有恒氏(小松左京、田中光二の両氏とともに原作を担当)、斉藤浩子氏(ユリカ役で出演)。
 上映は2話と17話。40年前のこども向けの特撮ドラマですが、内容は濃い。不慮の事故で冷凍睡眠に入り、未来の地球で目覚めた主人公たちがたどり着いたのは、人間がおらず、言葉をしゃべる猿たちが暮らしている世界だった。主人公たちは、この世界に人間がいないかを探し、世界が変化した理由を探そうとする。
 上映後のトーク、特に豊田氏の話から、この作品に込められた思いが分かる。類人猿の生態を正しく反映させた行動とか、環境問題への意識とか、白人中心の考え方へのアンチテーゼとか。

開催中企画展 - 世田谷文学館 :
http://www.setabun.or.jp/exhibition/exhibition.html

日本SF展・SFの国
2014年7月19日(土)~9月28日(日)
[会場] 世田谷文学館2階展示室
[休館日] 月曜日(ただし7月21日、9月15日は開館し、7月22日、9月16日は休館)
[主催]
公益財団法人せたがや文化財団 世田谷文学館
[監修]
筒井康隆、豊田有恒
[特別協力]
星ライブラリ、小松左京ライブラリ、手塚プロダクション、円谷プロダクション、東宝、日本SF作家クラブ
[協賛]
岩崎書店、啓文堂書店、光文社、小学館、東京創元社、東邦ホールディングス、徳間書店、早川書房
[後援]
世田谷区、世田谷区教育委員会

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