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2014年11月16日 (日)

赤瀬川さんの「物事を観察することの面白さ」を感じる:「尾辻克彦×赤瀬川原平-文学と美術の多面体-」(町田市民文学館ことばらんど)を見る

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 11月2日(日)、町田市民文学館ことばらんどで開催中の「尾辻克彦×赤瀬川原平-文学と美術の多面体-」を見る。赤瀬川原平さんは1980年代から町田在住だったそうで、そうした縁もあっての開催のようです。しかし、赤瀬川さんが10月26日にお亡くなりになり、追悼展というかたちにもなってしまった。

 まずは展示の見出しを紹介します。というのは、見出しを見ていただくと、美術家、文筆家としての赤瀬川原平さん、そして小説家としての尾辻克彦さんの幅広い仕事の中から、どの部分を取り上げているが分かりやすいと思うので。

第1章 ニラハウス
第2章 千円札裁判以降
第3章 「桜画報」と美学校
第4章 父の死と尾辻克彦の誕生
第5章 カメラのまなざし-描くカメラ、書くカメラ-

 展示の紹介や感想からはちょっと外れますが、赤瀬川さんの仕事は幅広い。1950年代後半には芸術作品を発表しはじめ、1960年代は高松次郎、中西夏之の両氏と「ハイレッド・センター」を結成。アクションやハプニングとしての活動を行う。そうした前衛芸術の中で、今回の展示でも取り上げられている「千円札裁判」(原寸大に模写した千円札を印刷し、最終的に執行猶予付きの有罪判決が下された)が起こる。
 1970年代は宮武外骨の影響を受けたパロディ・ジャーナリズムの作品を発表するとともに、美学校での講師を行う。1980年には尾辻克彦のペンネームで発表した小説が芥川賞を受賞。また1980年代は、路上にあるオブジェや建築物を芸術作品に見立てる「超芸術トマソン」が「路上観察学」に発展し、ブームになる。1990年代には『新明解国語辞典』の記述の独自性を取り上げた『新解さんの謎』、自らの老いを、なにかを失うのではなく力を得たと逆説的につづった『老人力』が多くの人に読まれる。ここ数年は体調を崩されていたが、2000年代も数多くの著作が刊行された。

 改めて振り返ると、やはりすごい方。ということで、赤瀬川さんの展覧会は、どこかポイントを決めて取り上げることになる。路上観察なら路上観察、カメラならカメラという感じで。
 しかし、今回の展示が興味深いのは、赤瀬川=尾辻さんの幅広い活動全体をうまくピックアップして紹介している点。文学館での展示ということもあって、まずご本人の原稿や原画の展示が多い。その他も、写真や出版物など平面的な展示物を増やしている。もちろん、印刷した模写の千円札で包んだポットや、ラベルを内側に張り付けた缶詰、自宅件アトリエのニラハウスの模型なども展示されているけれども。
 そして、赤瀬川さんの物事を観察することの面白さを感じる展示が多かった。その観察の結果が、小説やエッセイになり、マンガになり、チラシやポスターなどの印刷物になり、写真になって残っている。
 展示を見ることで、赤瀬川さんの仕事の幅広さを感じ、その視点の面白さを感じることができる。思えば、私も世の中を観察することの面白さは大学生の頃に読んだ赤瀬川さんの著作に教わった部分が非常に多い。そのことを改めて思い出した。

 1時間くらいで見ることができますが、見に行って良かった。それから、図録も丁寧に作られていて、こちらも買って良かった(図録は通信販売もあるとのこと)。

 展示は12月21日(日)まで。開館日や開館時間は下記のサイトからご確認下さい。

●10月18日(土曜日)から12月21日(日曜日)まで「尾辻克彦×赤瀬川原平-文学と美術の多面体-」/町田市ホームページ
https://www.city.machida.tokyo.jp/bunka/bunka_geijutsu/cul/cul08Literature/tenrankai/20140729084609197.html

 なお、同時期に千葉市美術館でも赤瀬川さんの展示が行われている。こちらは比較的芸術家としての側面を取り上げる内容のようです。12月23日(火・祝)まで。私はこちらも行く予定です。

●赤瀬川原平の芸術原論 1960年代から現在まで|2014年度 展覧会スケジュール|千葉市美術館
http://www.ccma-net.jp/exhibition_end/2014/1028/1028.html

↓会場内で撮影可能だった展示。自宅の椅子の表面を剥いだ「HAGU2」(2013年)。

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