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2014年12月 7日 (日)

大回顧展とも言える内容:「赤瀬川原平の芸術原論 1960年代から現在まで」展(千葉市美術館)を見る

genpei

 11月23日(日)、千葉市美術館で「赤瀬川原平の芸術原論 1960年代から現在まで」展を見る。サブタイトルに「1960年代から現在まで」とあるように、赤瀬川さんの作品を世に出た当時から今まで時系列に展示している。今、簡単に「世に出た当時から今まで時系列に」と書いたが、これは赤瀬川さんの経歴を知っている人ほどびっくりするだろう。なぜなら、赤瀬川さんは時代ごとに代表的な活動があるから。
 1960年代の前衛芸術(ネオ・ダダ、ハイレッド・センターへの参加。読売アンデパンダンへの出展)。1970年代のパロディ、マンガ、小説(1981年には尾辻克彦のペンネームで芥川賞を受賞)。1980年代のトマソン、路上観察。1990年代の中古カメラ、老人力。いずれも広く知られている。2000年代に入ってからも数多くの作品や著作を発表し、常に現役の方。

 それだけに、赤瀬川さんの展覧会というと、そのうちのいずれかを取り上げる内容が多い。ハイレッド・センターの時代について、とか、路上観察について、とか。
 しかし今回は、その活動のすべてを取り上げている。展示は1950年代に本名の「赤瀬川克彦」の名義で発表された絵画から始まる。そこから、幅広く、深く、赤瀬川さんのこれまでの仕事が振り返られる。いわば、大回顧展のような内容。この展覧会が始まる直前の10月26日、赤瀬川さんが亡くなられて、図らずもこの展覧会は追悼展のような形になっているのだが、その視点から考えても非常に充実している。私はじっくりと見て、合計三時間くらい堪能しました。千葉駅から徒歩15分くらいの場所ではありますが、赤瀬川さんが好きな方は行って損はないです。バスや私鉄、モノレール(!)などを利用するともう少し近いですし。
 なお、図録も販売されています。こちらも展示同様に、充実のボリューム。

 最後に、私もそれなりに赤瀬川さんのファンを自称している者なのだが、まだまだ知らないことが色々あったと気付きました。初めて、改めて知ってメモしたことを書いておきます。

・1950年代の作品には、アフリカやアラブの芸術に影響を受けた絵画もある
・1960年代に展覧会の案内状を送付した人物を見ると、安部公房、花田清輝、澁澤龍彦、岡本太郎、大岡信、土方巽などの名前も
・何度見ても、千円札事件で朝日新聞が赤瀬川さんのことを「自称超前衛派の若い画家」と表現しているのは、色々なことを考えさせられる。新聞(メディア)という権力がレッテルを貼る怖さとか、にも関わらず新聞にそうした肩書きが載ることの衝撃(ある意味の痛快さ)とか。
・松田哲夫氏が赤瀬川さんと出会ったのは、都立大の学生新聞へのイラストを依頼したことがきっかけだったという
・1960年代の赤瀬川さんは、文字デザイナーとして生計を立てていたという
・深沢七郎の今川焼屋「夢屋」の包装紙のデザインも担当した
・尾辻克彦の「尾辻」は、父方の親戚の名字から取られたという
・「超芸術トマソン」の名前の元になったのは元読売ジャイアンツのトマソン選手だが、トマソン獲得を伝える当時のスポーツ新聞で、並んで掲載されていたのがジョン・レノンの射殺の記事だった
・上映されていたインタビュー映像で赤瀬川さんが語っていたのだが、若い頃は未知のものを自分でつくっていた、それが徐々に見つけるようになっていったという。これが、特に1980年あたりを境にした赤瀬川さんの変化を象徴した言葉なのかもしれない

赤瀬川原平の芸術原論 1960年代から現在まで|2014年度 展覧会スケジュール|千葉市美術館 :
http://www.ccma-net.jp/exhibition_01.html

会期 2014年10月28日(火)~ 12月23日(火・祝)

開館時間 日~木曜日 10:00~18:00
金・土曜日 10:00~20:00
※入場受付は閉館の30分前まで

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