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2014年12月18日 (木)

技巧と表現力:シン・ヒョンス・ヴァイオリンリサイタルを聴く(2014.11.29)

passion

 11月29日(土)、シン・ヒョンスのヴァイオリンリサイタルを聴く。昨年、同じホールで行われた新倉瞳さんのチェロリサイタルでいくつかの曲に出演したのを聴いていたのと、プログラムに興味を惹かれて聴きにいく。

 前半はシューベルトが二曲。19歳の時に作られたヴァイオリン・ソナタは、なんとなくほのぼのとした印象。それでも、聞けばシューベルトの曲だと 感じる部分はある。一方ヴァイオリンとピアノのためのロンドは晩年と言っていい29歳の時の作品。こちらは起伏も大きく、演奏者にも技巧が求められる曲だ と感じた。

 後半は、まずラヴェルのヴァイオリン・ソナタ。これは楽章ごとに雰囲気が変わっていって、特に第二楽章はジャズのよう。ピアノは完全にジャズのよ うに聞こえるし、ヴァイオリンはブルースのギターや歌声のような旋律を奏でる。そして最後はサラサーテのカルメン幻想曲。オペラ「カルメン」の曲を組み合 わせているのだが、ヴァイオリンの名手サラサーテらしく、いわゆる超絶技巧を要する編曲。しかし、今回の二人の演奏には、そうした技術を感じるのはもちろ ん、ヴァイオリンとピアノのふたつの楽器で「カルメン」の世界をつくる表現力も感じました。

 シン・ヒョンスさんは、昨年のコンサートや、雑誌やwebサイトの写真からは可憐な感じの方かと思っていましたが、リサイタルでの演奏を聴くと力強くて、むしろアスリート的な美しさを感じました。

シン・ヒョンス ヴァイオリン・リサイタル
2014.11.29(土)かつしかシンフォニーヒルズ・アイリスホール
ピアノ:佐藤卓史

F.シューベルト:ヴァイオリン・ソナタ ニ長調 D.384
F.シューベルト:ヴァイオリンとピアノのためのロンド ロ短調 Op.70/D.895
M.ラヴェル:ヴァイオリン・ソナタ ト長調
P.サラサーテ:カルメン幻想曲 Op.25

アンコール
クライスラー「美しきロスマリン」
シューマン「トロイメライ」
ファリャ「スペイン舞曲」

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