【書評】私も愛した1980年代のパ・リーグ:『僕たちが愛したプロ野球 80年代パ・リーグ』
私も愛した1980年代のパ・リーグ
『僕たちが愛したプロ野球 80年代パ・リーグ』(2014年・スコラムック)
私が野球の本を読むのは珍しいと思われるかもしれないが、こう見えても、1980年代から1990年代にかけてはまだプロ野球の試合を見ていました。ちなみに野球のルールは、ファミコンのゲーム「プロ野球ファミリースタジアム」(ファミスタ)で覚えた。そのようなきっかけだったので、家族はジャイアンツファンだったがセ・リーグでは大洋ホエールズが好きだった。当時の「機動力野球」や「スーパーカートリオ」というのがこども心にも分かりやすかった。
そして、パ・リーグが面白いと思ったのもこの頃。西武が常勝軍団への道を進んでいたのだけれど、そのスマートなイメージの西武と、個性的な阪急・近鉄・南海の関西球団、そして関東のロッテ・日ハムにもそれぞれに特色があって、そのキャラクターが際立つ感じは、ある種マンガのようで小学生にも分かりやすく魅力的だった。テレビはジャイアンツ戦をほぼ毎試合中継していたけれど、私は当時からラジオを聴いていたので、文化放送のライオンズナイターなども聴いていた。テレビゲームの影響も含めて、好きな球団がジャイアンツ一択というわけではない世代だったのかな。あとは、この本でも触れられている河合しゅんじさんのマンガ『かっとばせ!キヨハラくん』の影響も大きい。パ・リーグを舞台にしたギャグだったので。
だから、この本はものすごく面白かった。巻頭から江夏豊氏のインタビューあり、ドカベンこと香川伸行氏のインタビューもあり(この本の刊行からし ばらくして、52歳の若さで亡くなられた。インタビュー当時も人工透析をされていたり、今となっては読んでいると切ない)、1988年の10.19(近鉄 が優勝を賭けて川崎球場でロッテとのダブルヘッダーに挑んだ伝説的な二試合)についての振り返りもあり。助っ人外国人や野球マンガ、野球関連のレコードと いた切り口からも、あの頃を振り返る。
登場する方は、必ずしも大きな記録を残したり、今もプロ野球に関わる方ばかりではないのだが、それでも当時のパ・リーグの記憶を呼び覚ますときに は忘れられない方ばかり。「”パ・リーグの大スター”選手ではなく、あくまでも”80年代のパ・リーグらしい選手”を取り上げています」(序文)とあるよ うに、こうした部分にはこだわりを感じる。
これまで私が書いた本の感想はこちらからどうぞ。
●木の葉燃朗の「続・本と音楽の日々」+「しゃべる帰り道ラジオ」: 書評
https://konohamoero.cocolog-nifty.com/blog/cat57961390/index.html
●TRCブックポータル 書評投稿履歴
http://www.bookportal.jp/webap/user/SchReviewerReviewList.do?reviewerId=25
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