【書評】自分の読書のルーツは多分ここにある_黒沢哲哉『よみがえるケイブンシャの大百科 伝説の70〜80年代バイブル』
世代的・個人的に「ケイブンシャの大百科」に親しみがない方は、「なぜ今こうしたテーマの本が刊行されるのか」と謎に思うかもしれない。しかし、私などはこどもの頃にこのシリーズを愛読したので、「よくぞ出版してくれました!」という思いでいっぱいですわ。
「ケイブンシャの大百科」は、文庫本サイズで一冊一テーマで、こどもが興味を持ちそうな様々な内容を取り上げたもの。個人的には、特撮やアニメ、テレビゲーム関連の巻をよく読んだ。自分の読書のルーツを考えた時、多分これは大きな要素を占める。他に小学館が同じようなコンセプトで出していた「コロタン文庫」や、雑誌の「てれびくん」、「テレビマガジン」、あともちろん「コロコロコミック」や「コミックボンボン」にも影響を受けた。あとは、当時から特撮もアニメも作品そのもの(映像)と同じくらい(あるいは作品よりも)、解説した本が好きだったというのは、自分の気質を方向付けていると思う。
著者自身が剄文社の編集者だったこともあってか、作り手側の話も多く登場するし、かつて編集・執筆に携わった方へのインタビューも充実している。これがまた、佐野眞一(シリーズを始めたのが佐野さんたちだったらしい)、綱島理友、金春智子(脚本家として仕事をされていた頃も携わっていたそう)といった各氏が登場する。他にも、本文中で高野秀行氏や町山智浩氏が関わった巻についても紹介されていて、読者だけでなく作り手にとっても、サブカルチャーやオタクカルチャーのルーツの一つだったんだなあと感じる。
なつかし本 - よみがえるケイブンシャの大百科 伝説の70~80年代バイブル - いそっぷ社
http://www.isopsha.com/b21.html
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