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2021年8月21日 (土)

【感想】フットボールはひとりじゃできない:映画『さよなら私のクラマー ファーストタッチ』

 

|『さよなら私のクラマー』アニメプロジェクト: https://sayonara-cramer.com/

中高生年代の女子フットボールを題材にした、マンガ原作のアニメ。

テレビアニメの『さよなら私のクラマー』は、高校の女子チームでの、個性のある選手たちを描く群像劇。
映画版の映画『さよなら私のクラマー ファーストタッチ』は、選手の一人恩田希が、中学生時代に男子チームでプレーする中での苦悩や葛藤を描く。

テーマになるのは「フィジカル」。恩田は小学生時代は、男女混成チームの中で秀でたテクニックを持っていて、体格も大きな方で活躍していた。
しかし中学生になると、試合の中で競り負ける経験をし、練習には参加できても公式戦には出場できなくなる。恩田はトレーニングを重ねるし、テクニックは変わらず優れているのだが、試合には出場できない。
そのうち、恩田がきっかけでサッカーをはじめ、かつては子分のように懐いていた谷安昭が、強豪校のキャプテンで屈強なディフェンダーに成長した姿と再会し、対戦を挑もうとする。

 

ポイントは、恩田のチームの監督が恩田の才能を認めていること。認めているからこそ、体格差のある男子とのプレーで怪我をして、将来がつぶれてしまうことを心配している。
中学生年代は成長に費やして、高校以降で開花して欲しいと。
その考えは、自分が人を育てる立場になってくると分かる。スポーツの世界、プロだって、若くして才能を期待されながら、その期待のゆえに怪我をして、期待ほどの活躍が出来ずに引退していった選手の例は、挙げたらきりがない。

でも、選手にとっては「今なんだ!」というのも分かる。3年後に備えてトレーニングを積ませると言われても、選手は試合に出なければ試合勘を鍛えられないし、試合に出るからこその経験がある。
恩田にとっては、真剣勝負に飢えているということもあるのだけれど、同じくらい大切なのは、「これまで一緒にフットボールをしていた仲間たちと一緒のチームで真剣勝負をする」こと。恩田も、みんなと一緒にプレーできる時間が残り少ないことは意識している。だからこそ、今のチームでのプレーにこだわっている。その熱気はまわりにも伝わっていく。恩田は技術だけでなく
人を惹きつけるなにかがある人物なのだと思う。スポーツ選手の中にも、「人を味方にできる人」というのが、いるんですよね。

「さよなら私のクラマー」の「クラマー」は、1964年の東京オリンピックに臨む男子フットボール日本代表のコーチを務めたデットマール・クラマーのこと。実は、映画になった中学校時代は、原作マンガは『さよならフットボール』のタイトルだった。これは、恩田が「男子のチームでのフットボール」に別れを告げるという意味だったのかな。そして、「さよなら私のクラマー」は、「男子のフットボールから離れた、女子のフットボールの始まり」ということなのかもしれませんね。

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映画は舞台挨拶付きの回で見ました。恩田役の島袋美由利さんが、恩田は中学時代も高校時代も、環境は違えど本質はまっすぐで変わらないという話をいていて、演じる上での意識を聴けたことがうれしかった。

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#アニメ #フットボール #島袋美由利


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