書評

2024年5月20日 (月)

【感想】人への思いと、経営者としての結果の両立:丹道夫『「富士そば」は、なぜアルバイトにボーナスを出すのか』 #富士そば

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丹道夫『「富士そば」は、なぜアルバイトにボーナスを出すのか』– 集英社新書(2017年)
https://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/0908-b/

富士そばは、東京都を中心に関東地方に店舗を構えるそば屋のチェーン店。
お店は駅前の、絶妙に目立つ場所にあって、ほぼ24時間営業。
私は昼時の混んでいる時期は避けてご飯を食べに行くのだけれど、そうすると落ち着いた雰囲気があって、ゆっくりと食事ができる。

この本は、富士そばを創業した方が、店や会社を経営する上で考えていることをまとめた本。
富士そばに行くと、特徴的だなと思うことが色々ある。この本を読むと、その理由が分かって興味深い。

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2023年9月 8日 (金)

【感想】いしいひさいち『花の雨が降る ROCAエピソード集 eBook』

※画像のリンクはAmazonアソシエイトになっています。

|Amazon.co.jp: 花の雨が降る ROCAエピソード集 eBook : いしいひさいち: 本: https://www.amazon.co.jp/dp/B0CH4YYPLP

 

一気に読んだ。ポルトガルの民謡のファドの歌手をめざし、歌手になっていく吉川ロカちゃんと、彼女を陰で支える、生まれながらグレーな社会で生きる同級生の美乃さんの物語を描いた『ROCA』のプラスアルファのエピソード。

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2021年11月 7日 (日)

【感想】大団円!:カツヲ『ひとりぼっちの○○生活 8』

カツヲ『ひとりぼっちの○○生活 8』

極度の人見知りである中学生、人里ぼっち(ひとり・ぼっち)が、幼なじみとの約束で、クラス全員と友達になることを目指すマンガ。この巻で完結。

ぼっちは、人と接するのが苦手で、中学受験でも怖くて面接に行けず、幼なじみのかいと別の学校に進むことになった。その中学生活を描く。
この作品は作中の時間が進むので、ぼっちとクラスメートたちも、1年生から進級していく。序盤はぼっちの極度の人見知りが笑いを誘うコメディだったのだけれど、そこから徐々に友達を増やしていく。それにつれて、作品の雰囲気も少しずつ変わっていく。人見知りで人としゃべるのは苦手だけれど、優しくて頭のいいぼっちは、ぼっちが思っている以上にまわりのみんなから好かれている。だから、彼女は少しずつ受け入れられていく。

そして、最終巻では「受験」と「卒業」が待っている。ぼっちは、面接のある推薦入試に挑戦する。ぼっちと最初に友達になった砂尾なこは、転校の多い生活を送っていたが、ぼっちたちと同じ高校に通うため、自分の学力よりも高い学校にチャレンジする。

【以下、ネタバレを含みます】

 

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2021年11月 6日 (土)

【感想】誰かのために作って、一緒に食べる:王嶋環『おるすばんごはん』

 王嶋環『おるすばんごはん』

主人公は、小学6年生の女の子、土井楓花。看護師のお母さんと2人暮らしで、お母さんは仕事が忙しく帰りが遅くなることもある。そんなお母さんのために楓花は晩ごはんを作るのだけれど、お母さんとの約束は「火を使わない」、「野菜を入れる」、「難しかったらお母さんに連絡する」というもの。

このうち、「火を使わない」は、料理をする者としては結構レパートリーが限られてくる印象がある。ホットプレートとか電子レンジを駆使するのです。
しかし、その状況でも楓花は様々な料理を覚えていく。そばでアドバイスしてくれるおばあちゃんの力を借りて。

はて、「お母さんと2人暮らし」だけれど「そばでアドバイスしてくれるおばあちゃん」とは? そう、おばあちゃんはなくなっているのだけれど、楓花にだけ見える、話ができる存在としてそばにいてくれる。

おばあちゃんの料理の作り方は、いい意味で適当なところもあって、それがいつも料理を作っていた人という感じがあって頼もしい。
そして、ホットプレートと電子レンジでも結構色々な料理が作れることが分かる。マグカップに生卵入れて、お湯を浸るくらいに入れてレンジで温めると温泉卵になるとか、勉強になる。

そして、料理って「誰のために作るか」って大事なんだなあと思う。正直、自分のために作って、一人で食べるのって、私はテンションが上がらない。それなら、総菜を買ってきたり、外食でもいいかなと思う。でも、誰かのために作って、一緒に食べるって楽しいと思う。そんなことを感じる

|おるすばんごはん - 株式会社ぶんか社:https://www.bunkasha.co.jp/book/b528432.html

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2020年4月28日 (火)

【感想】釣りとかわいさとシリアスさと_うちのまいこ『スローループ1』

 うちのまいこ『スローループ 1』 (MANGA TIME KR COMICS KIRARA MENU)

2020年の1月~2月に行われた「ドキドキ★ビジュアル★展覧会2020」で展示を見て印象に残った作品。未アニメ化作品で唯一展示されていて、特に気になった。

高校生の女の子二人を中心にした、釣りとアウトドアのマンガ。

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2020年4月27日 (月)

【感想】オタクあるあるに笑い、オタクの愛に泣く_町田粥『マキとマミ 上司が衰退ジャンルのオタ仲間だった話』

 町田 粥『マキとマミ 上司が衰退ジャンルのオタ仲間だった話』 

twitterで作者の方のつぶやきを偶然目にして知ったマンガ。

タイトルがすべてを物語っていて、興味を惹かれて読む。面白かった。

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2019年8月 2日 (金)

【書評】食生活という文化の交差点_小坂俊史『新婚よそじのメシ事情 2』

小坂俊史『新婚よそじのメシ事情 2』

小坂俊史さんは20年近いひとり暮らしを経て結婚。王嶋環さんは結婚を期に関西から上京。

その二人の「文化」がすり合ったりすり合わなかったりする様子を、「食べ物」をキーワードに描く。

食べ物には、その人の生きてきた人生が分かるんだなあと思う。
「第1回お好みあられドラフト大会」を読むと、人生が分かる。小坂さんしょうゆ味のあられ好き過ぎということも分かる。

そして、結婚生活において、食事は大切なんだなあと思う。食べ物の好みが合っているか、うまく折り合いがついたら、家庭はうまくいくのではないか。ということを、お二人の食生活を読んでいると思う。幸せそうだし、楽しそう。

そして、読んでいるとお腹が減ります。


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2017年1月21日 (土)

【書評】自分の読書のルーツは多分ここにある_黒沢哲哉『よみがえるケイブンシャの大百科 伝説の70〜80年代バイブル』

二年くらい前に書いた本の感想を、どこにもアップせずにパソコンに保存していたみたいなので、アップしておきます。

自分の読書のルーツは多分ここにある

黒沢哲哉『よみがえるケイブンシャの大百科 伝説の70~80年代バイブル』(2014年・いそっぷ社)

 2002年に倒産した出版社、剄文社が刊行していたシリーズ「ケイブンシャの大百科」を表紙画像や解説、コラム、インタビューから振り返る。なお今回は昭和に刊行されたものに絞られ、平成以降のものは巻末にリストが掲載されている。

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2015年7月14日 (火)

【書評】しゃべれない人にも、しゃべりすぎてしまう人にも:吉田尚記『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』

しゃべれない人にも、しゃべりすぎてしまう人にも

なぜ、この人と話をすると楽になるのか吉田尚記『なぜ、この人と話をすると楽になるのか』(2015年・太田出版)

 著者はニッポン放送のアナウンサー。ご本人曰く「コミュ障(コミュニケーション障害)」とのことですが、その著者が苦手だった人との会話をどうやって克服してきたかを語っている。ネット動画の生配信で話した内容をまとめたものとのこと。

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2015年6月23日 (火)

【書評】これが、「時代が求めた16bit」だ!:『メガドライブ大全 増補改訂版』

これが、「時代が求めた16bit」だ!

メガドライブ大全 増補改訂版『メガドライブ大全 増補改訂版』(2015年・太田出版)

 セガが1988年に発売したゲーム機「メガドライブ」の、国内で発売されたすべてのソフトを紹介する本。メガドライブには、「メガCD」や「スーパー32X」という拡張用の周辺機器もあったのですが、それらの対応ソフトもすべてカラー写真と文章で紹介されている。さらに、メガドライブのソフトを手がけた小玉理恵子、宮路洋一、内藤寛、中裕司というクリエイター各氏へのインタビューも掲載されている。

 もとは2004年刊行。この本は「増補改訂版」として、メガドライブの設計資料(図面など)、メガドライブ本体を開発した石川雅美氏へのインタビューが追加されている。

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